ポリアンナ効果とは、人は書かれた文字(SNSやメディアの文章)の上では、ネガティブ(否定的)なものより、ポジティブ(肯定的)なものの方が、大きく影響を受けやすいという心理傾向。
本記事では、その意味やデメリット(ポリアンナ症候群)について解説していきます。
ポリアンナ効果とは
ポリアンナ効果とは、書かれた言葉(テキスト・文字・文章)においては、否定的でネガティブな情報より、肯定的でポジティブな情報の方が、より大きな影響を及ぼすという心理現象。
例:SNSなどの文章のうえでは、意見が論理的破綻を起こしていたりツッコミどころがある意見だとしても、ネガティブなものより肯定的なものへの支持が多くなる傾向をさします。
このように人は、否定的な情報より肯定する情報の方が支持しやすい傾向にあります。
ポリアンナ効果は、1964年にアメリカの心理学者であるチャールズ・E・オスグッド氏が提唱した理論で、別名「パレアナ効果」とも呼ばれます。
ポリアンナ効果の由来は?
ポリアンナ効果は、1913年にエレナ・ホグマン・ポーター氏が書いた『少女パレアナ』という小説が由来となっており、日本では『愛少女ポリアンナ物語』としてアニメ化したことや、アメリカではディズニー映画となったことで有名です。
この物語は、主人公の「ポリアンナ」という少女が、苦難や悲劇にあいながら「良いこと探し」をすることによって、明るく前向きに逆境を乗り越えて行くという内容で、まさしく「ポリアンナ効果」と一致する物語だったため、提唱者であるチャールズ・E・オスグット氏が命名したとされています。
ポリアンナ効果は、書かれた文字以外にも該当する!?
ポリアンナ効果が発動する条件は、あくまで「書かれた文字」という縛りがありますが、その理由は「言葉などの具体的でない情報には該当しない場合がある」という例外も存在するため、書かれた言葉という条件で確実な根拠を語るためにある縛りだと考えられます。
ですから、「話す・聞く・思考」といった様々な状態でも「ポリアンナ効果」のような心理は働きます。
そのため認識としては、「書かれた文字=ポリアンナ効果」と定義しつつ、ポリアンナ効果のような心理傾向は「文章外でも該当する」と覚えておくほうが良いでしょう。
ポリアンナ症候群とは
ポリアンナ症候群は、別名「ポリアンナイズム」や「パレアナ症候群」とも呼ばれる症状で、自身の現在の状況(社会・環境)に大きな問題が生じているにもかかわらず、良い側面だけを直視し、悪い側面を見ないようにする傾向。
これは「行き過ぎたポジティブ」や「現実逃避」に該当し、精神疾患としても考えられています。
生きる上では、物事をポジティブに捉え考えていくことは重要ですが、ときには負の部分をみる必要もあります。
また、この「良い側面」と「悪い側面」の認知(バランス)に偏りがあると、日常生活に支障をきたすため、デメリットとなることも多くあるでしょう。
そのため、下記では行き過ぎたポジティブ(ポリアンナ症候群)を避けるために「ポリアンナ症候群の可能性である3つの状態」についてご紹介していきます。
- 問題解決を避ける行為
- 肯定できる何かと比較することが多い
- 過剰に「無根拠な自信」を持っている
下記の内容を理解し、自身に当てはまる場合は「注意・改善」していくよう心がけると、健全でより良い未来が望めるでしょう。
1. 問題解決を避ける行為
問題の大小にかかわらず「解決を避ける人」には、ポリアンナ症候群の症状である可能性があります。
なぜなら、ポリアンナ症候群の場合「物事の良い側面だけをみて、そうでない部分は避ける」という行為に至りやすいからです。
そのため、結果として問題解決が疎かになったり解決を避ける行為に至るので、「問題解決を避ける人」はポリアンナ症候群の可能性があるといえるでしょう。
2. 肯定できる何かと比較することが多い
上記でも話したように、ポリアンナ症候群には良い側面だけを見ガチなところがあります。
ですから「肯定できる何かと比較する行為=良い側面だけを探す行為」となってしまうため、比較癖がある人はポリアンナ症候群の可能性があるといえます。
とはいえ、誰しも人は「それぞれが基準となるもの(情報)」を持ち合わせており、それを軸に結論を出していくものです。
そのため、何かと比較することが多い人でも「過剰な比較があるか?」という部分だったり「時には自分の間違いを理解できているか?」などに着目し、誰にでも比較対象があるという前提と、これに当てはまるからといってポリアンナ症候群とは限らないことを覚えておきましょう。
3. 過剰な「無根拠の自信」を持っている
ポリアンナ症候群の人は、過剰なほど「根拠のない自信」を持っていることが多いです。
この自信は、もはや「良いのもしか見えない状態」に陥っているため、あらゆる可能性を考えることができなくなり、「最終的には、なんとかなるでしょ」と考えてしまっているがゆえに持ってしまいます。
その結果、良い部分しか見えなくなる「ポリアンナ症候群の可能性がある」といえます。
ポリアンナ症候群に関連する心理とは
- 確証バイアス
- 認知的不協和理論
1. 確証バイアス
確証バイアスとは、都合の良い情報だけをみて、そうでない部分は無意識に排除してしまう心理現象。
ポリアンナ症候群は「良いものだけを見て、そうでない部分は見ないようになるもの」です。
そのため、これは認知バイアス(アンコンシャス・バイアス)の1種である「確証バイアス(都合の良い情報だけをみて、そうでない情報を避ける人)」に陥った状態ともいえるでしょう。
2. 認知的不協和理論
認知的不協和理論とは、自身の心に対して行動に矛盾が生じたさい、自分の行動を正当化しようとしてしまう心理現象。
あるところに、一匹のキツネがいました。そのキツネは、木に実っているブドウを取ろうとして、ジャンプし続けていましたが、一方に取れる気配がありません。すると、とうとう諦めてしまったキツネは、こう捨て台詞を吐いてどこかへ行ってしまいました。「どうせあのブドウは、酸っぱくてまずいに決まってる!」
このように、取りたいけど取れないといった矛盾した状態を解消するために、まずいに決まってると言って納得することを認知的不協和と呼びます。
ポリアンナ症候群は、良い側面だけを見たり認知してしまい「自分の問題を正当化しようとする行為」にも至ってしまうため、自分のなか(言動)の矛盾を正当化してしまう「認知的不協和理論」にも関連しています。
まとめ
ポリアンナ効果とは、書かれた言葉(テキスト・文字・文章)においては、否定的でネガティブな情報より、肯定的でポジティブな情報の方が、より大きな影響を及ぼすという心理現象です。
そのため、普段の思考においては良いものになる一方で、行き過ぎると「ポリアンナ症候群」というデメリットにもなり得ます。
ゆえに、意識することも大切ですが、この思考に捉われないよう注意する必要もあるでしょう。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
本記事が、読者さんのお役に立てると幸いです。