哲学は、シンプルでありながら深く、とても面白い学問です。
本記事では、そんな哲学の意味や種類について分かりやすく解説してきます。
また、哲学を深く理解したい方にオススメの本もありますので、ぜひ最後までご覧ください。
哲学とは
哲学(Philosophy)とは、物事の真理や根源、本質を「追求・探究」する学問(知的活動)です。またフィロソフィー(Philosophy)は、ギリシャ語のフィロソフィアに由来しており、知を愛するという意味をもちます。
- 形而上学(Metaphysics)
- 存在や実在、時間、空間、自由意志など、物理的な世界を超えた根本的な問いを探求します。
- 認識論(Epistemology)
- 知識とは何か、どのようにして正しい知識を得るのか、真実とは何かといった問いを考えます。
- 倫理学(Ethics)
- 善悪や正しい行為についての探求。人間はどのように生きるべきか、正義や道徳について考えます。
- 論理学(Logic)
- 正しい思考や推論のルールを探求します。論理的に矛盾のない結論を導き出すための方法を研究します。
- 美学(Aesthetics)
- 美や芸術について考える学問。何が美しいと感じるのか、芸術の価値や意味を探ります。
- 政治哲学(Political Philosophy)
- 政治や社会の仕組み、正義や権利について探求します。理想的な社会や国家とは何かを考えます。
- 心の哲学(Philosophy of Mind)
- 心や意識、感情、思考の本質を探求する分野です。心と身体の関係や、意識とは何かを問います。
哲学は、具体的な実験や観察に基づく科学とは異なり、論理的な推論や理性的な思索を重視しています。また、他の学問に対して問いを投げかけ、その土台を考え直す役割を果たすこともあります。
哲学は、誰もが日常的に行う疑問や考えを体系的に深く掘り下げる活動であり、人間のあらゆる経験や知識に対してその意味を問う広範な学問です。
哲学とは、物事の意味や真実を明らかにしようとしたり、本質的な解を導き出すために思考・研究することを前提に7つの分類・テーマが存在しており、それぞれの真理の探究がおこなわれることをを意味します。
このように、哲学とは物事の意味や真実を明らかにするための知的活動を意味しており、ジャンルによって7つの分類・テーマが存在しています。
そのため、以下ではそれぞれの意味について解説していきます。
当サイトでは「善悪とは何か?(良い・悪いとは何か?)」について考えてみました。
反響が良く、たくさんの方に読まれているので、ぜひ目を通してみてください。
1. 形而上学(Metaphysics)
形而上学(Metaphysics)とは、哲学の一分野で、存在や実在についての根本的な問いを探求する学問です。物理的な世界の背後にある「存在そのもの」や「本質」についての理解を目指すもので、感覚で直接捉えることができない「目に見えない世界」を考察します。
- 存在論(Ontology)
- 存在とは何か、何が「存在する」といえるのか。例えば、「物質的なもの」だけが存在するのか、心や意識も実在するのかという問いです。
- 時間と空間
- 時間や空間はどのような性質を持っているのか。これらは人間の心が作り出したものなのか、それとも独立して存在するのか、といった問題を考えます。
- 自由意志と決定論
- 人間は自由に選択できるのか、それともすべての行動や出来事は過去の原因によって決定されているのかという問いです。
- 心と身体の問題
- 心と身体はどのように関連しているのか、心(意識)は物質(脳)の副産物なのか、それとも独立した実体なのかという議論です。
- 因果律(Causality)
- 物事はどのようにして因果関係によって成り立っているのか。また、宇宙はどのようにして存在しているのか、その背後にある第一原因は何か、といった問いです。
このように、メタフィジックスは物理的な世界を超えた問いを扱い、科学が直接答えることができない領域を探究します。
2. 認識論(Epistemology)
認識論とは「知識とは何か?」という問いに焦点を当てる分野の哲学です。私たちがどのようにして知識を得るのか、知識が本当に信頼できるものか?ということにつて探求します。
下記の3つが主なテーマとなります。
- 懐疑論
- 私たちが知っていると信じていることが、本当に真実であることをどう証明できるのか?外部の世界が存在していると確信できるのか? 認識論は、日常の信念や知識のあり方を批判的に検討し、その妥当性を探ります。
- 知識の定義
- 知識とは何か?信念や真実との違いは何か?
- 知識の源泉
- 知識は経験から得られるのか、それとも生得的に持っているものなのか?
このように、認識論という分野では知識やその正しさ、違いについて問い、真実を明らかにしていく哲学です。
3. 倫理学(Ethics)
倫理学は、人間がどのように行動すべきか、善悪の基準は何かを探求する分野の哲学です。
具体的には次のような問いを扱うことが多いです。
- 規範倫理学
- どのような行動が道徳的に正しいのか、あるいは間違っているのか?例えば、功利主義(最大多数の幸福を追求する)や義務論(行為の動機や義務に基づく)といった理論があります。
- 応用倫理学
- 現代の具体的な問題に対する道徳的な答えを探求します。例えば、安楽死や環境保護、人工知能に関する倫理的問題などが含まれます。
- メタ倫理学
- 道徳的な主張がそもそもどのように成立するのか、道徳の基盤や意味を分析します。 倫理学は、正しい生き方や社会における正義を考え、道徳的な判断を導くための手法を提供します。
このように、倫理学では「人間はどう生きるべきか?」といった正解のない問いに対して、道徳やルール、善悪や正義を本質的(最も良い未来など)について考える分野です。
4. 論理学(Logic)
論理学は、正しい思考や推論のルールを研究する分野の哲学です。私たちが議論や判断をする際に、矛盾や誤りがないかどうかを分析し、真実性へ辿り着くための方法を研究します。
論理学には下記のような概念があります。
- 演繹法(Deductive Reasoning)
- 前提が正しいならば、結論も必ず正しくなる推論の形式。たとえば、すべての人間は死ぬ→ソクラテスは人間である→だからソクラテスは死ぬ。
- 帰納法(Inductive Reasoning)
- 多くの事例から一般的な結論を導き出す推論。たとえば、多くの白鳥が白いので、すべての白鳥は白いと結論づける。
- 形式論理(Formal Logic)
- 議論の構造や形式を分析する。議論の妥当性や正当性を評価します。 論理学は、明確で一貫した思考をするための基礎であり、他の哲学の分野でも重要な役割を果たします。
このように、論理学では「真実を問うための行為が、本当に正しいやり方なのか?」を研究し、より真実性を高めていこうとする哲学です。
5. 美学(Aesthetics)
美学は、美や芸術について探究する分野の哲学です。芸術作品や自然に対する感情や判断が、どのように生じるのか?、また何が「美しい」とされるのか?などについて分析します。
美学には、下記3つが問われます。
- 美の本質
- 美しさとは何か?美は主観的なものか、それとも客観的なものか?
- 芸術の価値
- 良い芸術と悪い芸術を区別する基準は何か?芸術の目的や意義はどこにあるのか?
- 審美的判断
- 私たちはなぜあるものを美しいと感じるのか、その感覚や評価は文化や社会によってどう影響されるのか? 美学は、芸術や美に対する感性や評価の根本を探り、芸術表現の意味を深く理解しようとするものです。
このように、美学では人の感覚的な部分を言葉にして理解しようとする哲学の分野です。
6. 政治哲学(Political Philosophy)
政治哲学は、政治や社会の仕組み、権力や正義についての根本的な問いを探求する哲学の分野です。例えば、理想的な社会や国家のあり方を考察し、より良い選択を導き出そうとしたりします。
政治哲学は、次のようなテーマが中心となります。
- 正義と平等
- どのような社会が正義に基づく社会といえるのか?平等はどのように達成されるべきか?
- 権利と自由
- 個人の権利や自由はどこまで尊重されるべきか?また、国家や政府はどのようにこれを制限することが許されるのか?
- 国家の正当性
- 政府や国家の権力はどのように正当化されるのか?人々は政府に従う義務があるのか? 政治哲学は、社会の構成や人々の権利についての深い理解を目指し、現実の政治問題に対する理論的な枠組みを提供します。
このように、政治哲学では「理想的な社会」を目指すため、哲学的思想を用いてあらゆる選択肢を考える分野です。
7. 心の哲学(Philosophy of Mind)
心の哲学は、意識や感情、思考、知覚などの精神的な現象を探求する哲学の分野です。具体的には、心と身体の関係や、心がどのようにして機能するか?などについてを考察します。
心の哲学では、次のようなテーマが主軸となります。
- 心と身体の問題
- 心(意識)は身体(脳)とどのように関連しているのか?物質的なものにすぎないのか、それとも別の実体なのか?
- 意識の本質
- 意識とは何か?意識の状態はどのようにして説明できるのか?
- 人工知能と心
- 機械やコンピュータは意識を持つことができるのか?心の機能を模倣することができるのか? 心の哲学は、意識や思考の本質を理解し、精神的な現象と物質的な現象の関係を探求する重要な分野です。
このように、心の哲学では「そもそも意識とは何か?」など、感情や思考、心体の繋がりを研究する分野です。
そして、これらの7つの分野はそれぞれが哲学の異なる側面を探求しながら、人間や世界に対する深い理解を目指すために存在しています。
また、それぞれの分野は独立しているように見えますが、互いに関連し合いながら総合的に人間の知識や存在を解明しようとしているため、同じ哲学という枠組みとして定義されます。
哲学史:歴史や背景は?
哲学は、今から約2500年前の古代ギリシャで始まり、自然界をどう理解するかという「自然哲学」が最初のテーマでした。タレスやヘラクレイトスという人物が主体となり「世界の始まりは何か?」と考えたのがきっかけで、これまでは神話で説明されていたことを理性で解き明かそうとしたのが哲学の始まりとされています。
哲学の生みの親ともいわれるソクラテスは、神話が常識だった世間に対して、問いかけによって人々の無知を自覚させ、真理を探求しました。弟子のプラトンは「目に見えるものより、目に見えないイデアが真実」と主張。一方、アリストテレスは、目に見える現実を大切にし、科学的な視点を持ちました。
ギリシャの時代が進むと、人々は「どう生きれば幸せか?」という問いに興味を持つようになりました。ストア派は「心を強く保つこと」が幸せの鍵だとし、エピクロス派は「快楽を得ること」が大事だと考え、それぞれの思想の違いにより分断され、発展していきました。
中世になるとキリスト教が広まり、哲学は「神と人間の関係」を考えることが中心になりました。アウグスティヌスやトマス・アクィナスは、「神はどういう存在か?」「人はどう生きるべきか?」という宗教的なテーマに取り組みました。
トマス・アクィナスは、信仰だけでなく理性でも神を理解できると考えました。これにより、哲学は信仰を深めるための道具としても使われるようになりました。
ルネサンス時代には、古代ギリシャ・ローマの思想が再び注目され、人間の理性や個性が重視されました。「人は自分の力で物事を理解し、変えられる」という考え方が広まりました。
近世哲学のスタートはデカルト。「我思う、ゆえに我あり」で知られ、すべてを疑うことから確実な知識を得ようとしました。デカルトは「理性こそが真実を見つける鍵」とし、合理主義の基礎を築きました。
イギリスではジョン・ロックやデイヴィッド・ヒュームが「知識は経験からしか得られない」とする経験主義を提唱する一方で、デカルトやスピノザ、ライプニッツらは理性を重視する合理主義を展開し、二つの考え方が対立しました。
イマヌエル・カントは、経験主義と合理主義を統合し、人間の知識には限界があると指摘しました。彼は「世界をどう見るかは、人間の認識の仕方によって変わる」とし、哲学の新しい方向性を示しました。
ゲオルク・ヘーゲルは、対立する考えがぶつかり合い、それが新しい考えを生む「弁証法」を提唱しました。これにより、歴史は単なる繰り返しではなく、進化するものと捉えられました。
キルケゴールやニーチェは、「個人の自由や選択」が人生において最も重要だと考えました。これが後の「実存主義」につながり、人間の生きる意味を問い続けるテーマとなりました。
20世紀には、哲学の流れが大きく二つに分かれました。イギリスでは、言葉や論理を分析する「分析哲学」が主流となり、ウィトゲンシュタインやラッセルが活躍しました。一方ヨーロッパでは「大陸哲学」が発展し、ハイデガーやサルトルが「存在の意味」や「個人の自由」を探求しました。
ポストモダン哲学では、フーコーやデリダが、「真理や権力は相対的である」と主張し、社会の中での権力構造や価値観の変化に注目しました。また、フランクフルト学派の批判的理論は、資本主義社会や不平等を問い直す視点を提供しました。
ここまでが、哲学の始まりから現在までのざっくりとした歴史です。さまざまな展開をしつつも、根本的な真理の探究はブレないまま、あらゆる手段や考え方を用いて今に至ります。
哲学を学びたい方にオススメの書籍
ここでは、哲学を学びたい「初心者・入門者」へオススメの書籍を紹介します。
1. 史上最強の哲学入門
前提知識がなくとも理解できるため、「初心者・入門者」に最もオススメする書籍です。
2. 図解・標準・哲学史
上記の書籍のように理解しやすいため、「初心者・入門者」にオススメする書籍です。また、この書籍は図解などで解説しているため、文章を「読みたく無い」「苦手」という人に向いています。
3. 教養として学んでおきたい哲学史
前提知識があり「その上で思考を深めたい」、そんな方にオススメの書籍です。
まとめ
哲学がどんなものか、そして「学びたい」という意欲も湧いてきたのではないでしょうか。本記事をきっかけに、哲学に興味を持ってもらえたり、学ぶきっかけになれると幸いです。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
本記事が、読者さんのお役に立てると幸いです。