ダニング=クルーガー効果とは、無能な人ほど、自分の能力に自信をもつ心理傾向です。
この心理が生じることで、メリットに働く場合もある反面、デメリットになることも少なくありません。
そのため、本記事では「ダニング=クルーガー効果」とうまく付き合っていくために、意味や原因、対策法とメリット・デメリットについて解説していきます。
ダニング=クルーガー効果とは
ダニング=クルーガー効果とは、知識や能力が劣る人ほど、自身を過大に評価してしまう心理現象です。
免許を取り立ての初心者は「自分の運転は、他者より上手い」と実際の実力より大見積もってしまったり、または本気でそう思い込むことなどに該当します。このように、無能な人ほど、実際の能力より大きく評価してしまう心理を「ダニング=クルーガー効果」といいます。
ダニング=クルーガー効果とは、1999年にアメリカの社会心理学者でありコーネル大学・ミシガン大学の教授を務めたデヴィット・ダニング(David Alan Dunning)氏と、同じくアメリカの社会心理学者でありニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスの教授を務めたジャステン・クルーガー(Justin S. Kruger)氏が提唱した、別名「優劣の錯覚」とも呼ばれる認知バイアスの一種です。
ダニング=クルーガー効果が生じる原因とメカニズムは?
- 防衛本能
- 人類の歴史の過程
- 能力を認識できない
ダニング=クルーガー効果が起きる原因とメカニズムは様々ですが、主に上記の3つだと考えられています。ここでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1. 防衛本能
人間は、心の平穏や自尊心を保つための防衛本能として「自身を過大に評価する習性」を持っています。そのため、能力や知識が劣る人ほど、自分に自信を持つ傾向があるのです。
人の進化の過程で「能力が低いことがバレること」「自尊心を保てないこと」などは、生きる上で致命的だったと考えられています。ですから、遺伝子にこのような防衛本能が備わっているというわけです。
2. 人類の歴史の過程
人類は、旧石器時代から何百万年もの長い間、数百人程度の小さな組織のなかで暮らしていたと言われています。また、その中で地位をめぐり争うことは、日常的に起こるわけです。そして、能力のある者だけが高い地位に立つことは必然であり、能力のない者が淘汰されていくのも必然となります。
そのため、「自身の能力が低い」という事を他者に知られるのは致命的になるので、無意識な思い込みとして「自身の能力を過大評価する癖」というものが身についたと考えられるわけです。
3. 能力を認識できない
2つめの原因・メカニズムは、能力の低い人ほど、他者との比較や自分自身の評価ができない、または情報が足りないということが考えられます。具体的には、下記3つのいずれかに該当します。
- 他者の能力の高さを正確に推定できない
- 自身の能力の不十分さの程度を認識できない
- 自身の能力が不足していることを認識できない
引用:Wikipedia
例えば子供は、情報や知識量が大人と比べて低いことは明白ですよね。そのため「見ている世界や考えることのできる範囲が、大人と比べて狭い可能性が高い」と言えるでしょう。
これと同じように、知識や経験、他者の実力といった情報が足りていないことが原因となって、ダニング=クルーガー効果に陥るわけです。
ダニング=クルーガー効果のメリット・デメリット
ダニングクルーガー効果が生じることで、デメリットになる時もあれば、メリットになる場合もあります。ここでは、それぞれどのようなことが「メリット・デメリット」になるのかを見ていきましょう。
ダニング=クルーガー効果のメリット
ダニング=クルーガー効果のメリットは、あらゆる物事において、自信をもって取り組むことができることです。
物事に自信をもって取り組むことは、良い成果、実力の発揮、実力以上の成果などが期待できます。
そのため、ダニング=クルーガー効果が生じることで、悪いことばかりだけではなく、良い方向へ動くこともあるので、あえて利用する選択肢もありでしょう。
ダニング=クルーガー効果のデメリット
ダニング=クルーガー効果のデメリットは、成長速度の減少、またはストップする可能性が考えられることです。
なぜなら、はじめは過剰な自信があっても、のちのち「井の中の蛙」であったことに気づき、気分が下がったり、諦めのキッカケとなることがあります。
そのため、物事をはじめたは良いが「やめてしまった」などといったことに繋がるため、ダニング=クルーガー効果が生じるデメリットと言えるでしょう。
ダニング=クルーガー効果の対策方法は?
- 原因の追求
- メタ認知を持つ
- 他者との交流、意見を聞く
ダニング=クルーガー効果の対策方法として、上記3つが効果的です。
1. 原因の追求
ダニング=クルーガー効果は、自身に情報が足りてないがゆえに起こりうる心理現象です。
そのため、物事の原因を探求していくことで「なぜ、この結果になったのか?」が明白になり、このような情報を多く取り入れることで、「無知の知」を知ることができます。
すると、自信過剰であったことや、自分がどの位置にいるのかを理解でき、ダニング=クルーガー効果の対策や抜け出すきっかけとなります。
2. メタ認知を持つ
メタ認知とは、自分を客観視することや、他者目線で見ることができる能力のことです。
また、メタ認知を持つことで、自分と他者を客観的に見比べることが可能利なります。
そのため、メタ認知を持つことで、ダニング=クルーガー効果の対策となるわけです。
3. 他者との交流、意見を聞く
最初にも述べたとおり、ダニング=クルーガー効果は、情報が足りてないがゆえに起こりうる心理現象です。
そのため、他者との交流を深め、意見や情報を集めることで、自身を正しく評価することが可能になります。
その結果、ダニング=クルーが効果の対策になったり、抜け出すきっかけになりうるのです。
まとめ
ダニング=クルーガー効果とは、無能な人ほど、自分の能力に自信をもつ心理傾向です。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
本記事が、読者さんのお役に立てると幸いです。